今回は”インターネットでフルカスタム”でのお仕事の依頼です
遠く、仙台からのご依頼で、わざわざ大阪のLIGHTに注文してくれたことを喜んでいただけるような物を作らなければと、プレッシャー大です
依頼はストリートチョッパーでした
SRベースなどは、おそらくどこのカスタム屋さんでも出来るので、4発のストリートチョッパーを作ることにしました
肝はただのアメリカンチョッパーにならないようにしなければダメ って事です

 

エリミネーターの400は前にも何度かカスタムしているので慣れています
僕はエリミ君が結構好きです
”アメリカンだから低速重視!!”みたいな流れが嫌いだったからです
スティード、バルカン、ドラッグスターどれも低速重視のエンジンです
速さがすべてではないですが、速いのと遅いのと、どちらを選ぶかといわれればほとんどの人は速いのを選びます

とりあえずエンジンがかかりません
キルスイッチの接点不良っぽいです
どうせなら、全バラして、ボディーはブラスト、内部は磨いてグリスアップ 完ペキな状態にしておきます

色々外装類を、お客さんと打ち合わせして、ピーナツタンクにすることにしました
これはV−TWIN製ですが、このタンクの欠点は、キャップからガソリンが滲みやすいのと、コックの切り替えがボケていることです
この点も改良の余地ありです

とりあえず、頑張ってフレームに合わせます
エリミ君はメインフレームが3本なので、タンク選びは結構大変です
もうここまで加工するなら何でも一緒ですが・・
いやいや、大変な作業です

頑張った甲斐あって、いいラインになりました
リアフレームは大胆にもカットして、ループバーを作りました
次はリアフェンダーなどです

リアフェンダーをスイングアームマウントにしました
さてさて、次はシートです
合いそうなシートはなさそうなので、鉄板から作ります
これまた大変な作業です

折り曲げて強度も出ました
いいラインです

次にサイドコイルにしました
この辺で、そこいらのエリミカスタムと差別化していきます
ありがちなエリミカスタムは僕も依頼者さんも嫌なのです

バッテリーケースなんぞも作ってみました

タンクキャップ問題は、ホンダのキャップをつけれるように口を変えました
ホンダのいらないタンクから、キャップの口部分を切り取って、こちらに溶接し、付け替えていますが、これまた大変な作業です
これで、キャップ問題は解決です

コック問題は、タンクに直接ホースをさす事で解決です
短いパイプと、長いパイプを2本タンクに溶接しています
短い方が、予備のガソリンが流れるパイプになるので、こちらをオンオフコックだけつければ、解決するという寸法です

エンジンをばらしました
そこそこの汚れですが、ビックリするようなことは一つも無く、そこそこの状態です

サスもバラして綺麗にします

着々といろんな方面で、作業が進みます
助手達が、ぶりぶりと働いています
こちらは、アルミパーツをブラストしました

そうこうしている間に、メッキがあがってきました
今回のメッキは綺麗です

シートもあがってきました
毎回良い仕事をしてくれるのは、明和内張りさんです
今回も良いタックロールです

タンクはパテをして、キャップ部分の溶接はまったく分からなくなりました

スプリングとアジャスター部のメッキ、ボディー部分のペイントがあがりましたので、組み込みました
良い感じです

クランクは問題ないので、耐熱シルバーで塗りました

アウターをブラストして、オーバーホールしました
動きもスムーズで最高です

ブレーキもオーバーホール、ブラストで内外ともに良いです

ピストンリング、バルブステムシール、その他ガスケット類を新品に換えて、バルブのすり合わせ、ピストンヘッドのバフ、シリンダーのブラスト等、いろんな作業を乗り越えてやっと形になってきたエンジンです
ヘッドカバーはバフで綺麗になりました

ペイントしたフレームに色々と載せていきました

今回のタンクペイントは依頼者のデザインです
渋く決まっています
プラグコード、キャブの蓋と合わせて赤になっています
シートも良い感じに仕上がり、完成間近です

真上から見ると4発のエンジンの張り出しがカッコよすぎます
それを強調するような、ピーナツタンクにシート、フェンダーのラインも抜群です

試乗する助手
こんなスタイルで、排気音は4発の フオオーーン です
これがまた良い

あれこれと配線や、水周りのホースの処理、ごちゃごちゃとしてやっと完成です
今回のお客さんには本当に待ってもらいました
一身上の都合で、少し社長の僕が仕事をストップしてしまい、それに伴って、作業が大幅に遅れてしまいました
それをまったく責めない依頼者さんで本当によかったです
撮影はいつもの通り、南港で夜に撮りました
乗り味は最高です
これだから4発チョッパーはやめれません
僕はポジション的にはエイプバーが一番好きです
乗り味は4発が好きです
このバイクは僕の好きなポイントがぎっしり詰まっていて、やっていて楽しい仕事でした

リア周りです
このマフラーが結構なサウンドを響かせますが、このバイク、こう見えて車検対応です
ナンバープレートの下に反射板をつけるだけで、車検が通ってしまいます
当店の近所なら大概の改造車は車検を通しますが、遠く仙台に嫁いで行くエリミ君は、次の車検は当店では出来ません
構造変更などを済ませたこのエリミ君は、次の車検は何の問題も無くすっと通るのです
それって結構大事なポイントです

このバイクに限らず、インターネットカスタムは、一台のバイクが出来上がるまでに、かなりの依頼者さんとのやり取りがあります
お送りする写真もこのページに紹介する2−3倍ほどの枚数になります
そのコミュニケーションが、大事だと考えます

時に、お客さんのこだわりが理解できないこともありますが、顔が見えないインターネットカスタムだからこそ、何通ものメールが必要になってきます
それを通して、その人と、その人の感じているものを理解できれば、それが形になり、作り手、依頼者様 ともに気持ちの良い物が出来上がります

インターネットカスタムは、そういった意味で、一緒に作り上げていく感覚を味わってもらえれば、当店としての本意なのです

作り上げる過程というのは、バイクライフにとってとても大事なことです
新車を買えるほどの金額を払い、頭を悩ませ、作業の遅い社長にいらいらしてやっと出来上がったバイクと、タダで貰った様なバイクとでは、そのバイクとの付き合い方は誰でも変わってきますよね
これから当分、ツーリングや、通勤、チビの送り迎えなどで、行動を共にする相棒を、可愛いと思えるか、どうかは、この作り上げていく過程の中にあるといっても、大げさではないと思います

ともあれ、今回の仕事を一番楽しんだのは、僕と助手のながせっち なのかもしれません

 

バーニング誌さん 掲載ありがとうございます

グーバイク誌さん 掲載ありがとうございます